ヘナやインディゴについて調べていくと、必ずと言っていいほど名前が出てくる植物です。
アムラは「インドスグリ」とも呼ばれ、学名は Phyllanthus emblica(フィランサス・エンブリカ)。インドをはじめとする南アジア地域に自生する果樹です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、インドでは古くから生活に深く根付いてきました。
ヘナやインディゴが主に髪を染める植物として知られているのに対し、アムラは少し立ち位置が異なります。
なぜなら、アムラは食べることも、飲むことも、髪に使うこともできる植物だからです。
インドでは果実をそのまま食べたり、ジュースやジャムに加工したり、サプリメントとして摂取したりする文化があります。
さらにアーユルヴェーダでは非常に重要な植物として扱われてきました。
アーユルヴェーダとは、インドで数千年にわたり受け継がれてきた伝統的な健康観です。
現代では「インドの伝統医学」と紹介されることもありますが、実際には病気になってから治療するという考え方だけではなく、日々の暮らしの中で健康を維持するという考え方が根底にあります。
そのアーユルヴェーダの中で有名なのが「トリファラ」です。
トリファラとは
アムラ
ハリタキ
ビビタキ
という3種類の果実を組み合わせた伝統的なブレンドです。
名前の由来もサンスクリット語で「3つの果実」という意味からきています。
アムラは単独でも利用されますが、このトリファラの構成植物としても非常に有名です。
また、アムラはヘナやシカカイと組み合わせて髪や頭皮のケアに利用されてきました。
現代のようなシャンプーやトリートメントがなかった時代から、人々は植物の力を暮らしに取り入れてきたのです。
ここで面白いのは、アムラが単なるヘアケア用ハーブではないという点です。
髪だけに使われるのであれば、ここまで長い歴史の中で受け継がれてこなかったかもしれません。
食べる。
飲む。
塗る。
生活のさまざまな場面で利用されてきたからこそ、現在まで残り続けているとも考えられます。
ヘナについて学び始めると、どうしても「染まる」「染まらない」「色味はどうなる」という話になりがちです。
もちろんそれも大切です。
しかし、その背景にある植物や文化を知ると、ヘナやアーユルヴェーダに対する見方も少し変わってきます。
髪だけを見るのではなく、人そのものを見る。
そんな考え方の入口として、アムラはとても興味深い植物だと思います。