美容師が学ぶ「健康美」④

脂肪って、本当に悪者?

「脂肪」と聞くと、どんなイメージがありますか?

落としたい。
燃やしたい。
できるだけ少ない方がいい。

美容や健康について調べていると、「脂肪を減らす」という情報を本当によく目にします。

もちろん、体脂肪が増えすぎることで健康上のリスクにつながることはあります。

でも今回、脂肪について改めて勉強してみると、

「脂肪=身体にとって邪魔なもの」

というほど単純ではないことが分かりました。

今回は、少しだけ脂肪を見る目を変えてみたいと思います。

そもそも、なぜ身体には脂肪があるの?

脂肪には、ちゃんと役割があります。

例えば、食事から得たエネルギーを蓄えて、必要なときに利用できるようにすること。

皮下脂肪には身体から熱が逃げるのを抑える働きがあり、脂肪は身体の組織や臓器を保護することにも関わっています。

つまり脂肪は、

ただ身体についている「余分なお肉」ではありません。

私たちが生きていくために必要な組織の一つです。

脂肪は「エネルギーの倉庫」だけでもない

さらに面白いのがここです。

脂肪組織は、単にエネルギーを蓄えているだけではありません。

さまざまな物質を分泌し、食欲や代謝など身体の働きにも関わっています。

例えば、脂肪細胞から分泌されるものの一つにレプチンがあります。

レプチンは食欲やエネルギー消費の調節に関わるホルモンです。

ほかにも、アディポネクチンなど、代謝に関係する物質が脂肪組織から分泌されています。

つまり脂肪組織は、

ただ蓄えるだけではなく、身体の中で働いている組織

でもあるわけです。

私自身、「脂肪」という言葉からはどうしても「減らすもの」というイメージを持っていました。

でも身体について勉強すると、見え方が少し変わってきます。

じゃあ、脂肪は多いほどいい?

もちろん、そういうことでもありません。

必要なものなら、たくさんあった方がいい。

という単純な話ではありません。

特に内臓脂肪が過剰に蓄積した状態は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と関係します。

一方で、体脂肪を極端に少なくすることも、身体にとって良いとは限りません。

だから、

「多い=悪い」
「少ない=良い」

だけでは考えない。

自分の身体にとってどうなのかを見ることが大切になります。

「体脂肪率」って何?

ここでよく聞くのが体脂肪率です。

体脂肪率とは、

体重のうち、脂肪が占める割合

のことです。

例えば、

体重55kg
体脂肪率25%

だった場合、

55kg × 0.25 = 13.75kg

単純計算では、体脂肪量は約13.8kgとなります。

残りがすべて筋肉という意味ではありません。

身体には筋肉だけでなく、骨、臓器、水分などもあります。

だから体重だけを見るよりも、

「その体重の中身はどうなっているんだろう?」

と考えることが大切です。

同じ55kgでも身体は同じじゃない

前回の筋肉の話ともつながります。

例えば、同じ身長で同じ55kgの人が2人いたとしても、

筋肉量が同じとは限りません。

体脂肪量も同じとは限りません。

骨格や水分量などにも個人差があります。

つまり、

体重という数字が同じでも、身体の中身は違います。

だからこそ「○kgなら理想」「○kgになれば健康」と、体重だけで決めることはできません。

BMIも体脂肪率も体重も、自分の身体を知るための一つの情報として利用する。

一つの数字だけを「正解」にしないことも大切なのだと思います。

同じ脂肪でも「皮下脂肪」と「内臓脂肪」がある

そして脂肪について、もう一つ知っておきたいことがあります。

代表的なものが、

皮下脂肪と内臓脂肪

です。

皮下脂肪は、その名前の通り皮膚の下に蓄積する脂肪です。

一方、内臓脂肪は主に腹腔内の内臓の周囲に蓄積します。

この二つは、単に「ついている場所が違う」だけではありません。

特に内臓脂肪の過剰な蓄積は、さまざまな代謝異常との関連が知られています。

同じ「体脂肪」という言葉でも、

どこに、どのようについているのか

という違いがあるんですね。

「脂肪を減らす=健康」とは限らない

ここまで勉強すると、最初の疑問に戻ってきます。

健康のためには、脂肪を減らせばいいのでしょうか?

これは、その人によって違います。

体脂肪が多く、減らすことが健康につながる人もいるでしょう。

今の状態を維持することが大切な人もいる。

そして反対に、

痩せていて、これ以上体重を減らす必要がない人もいます。

世の中には「健康的に痩せる」という情報がたくさんあります。

でも、

食べても体重が増えにくい。

年齢とともに痩せてきた。

もう少し体重を増やしたい。

そんな悩みを持っている人もいます。

このシリーズでは、そうした「太りにくい人の健康」についても、この先きちんと勉強していきます。

脂肪を敵にしない

今回、私が一番伝えたかったのはここです。

脂肪は「敵」ではありません。

身体に必要な、大切なものです。

ただし、必要だから多ければ多いほどいいわけでもない。

筋肉も必要。

脂肪も必要。

そして、そのバランスや身体の状態は一人ひとり違います。

だから目指すのは、

「脂肪をなくすこと」ではなく、自分の身体を知ること。

痩せたい人も。

今を維持したい人も。

太りにくくて悩んでいる人も。

誰かの身体や数字を「正解」にして自分を合わせるのではなく、自分の身体には何が必要なのかを考えていく。

それが、このシリーズで考えている「健康美」の土台です。

健康があって、その先に美容がある。

何歳になっても美容を楽しむために、私自身も一つずつ身体について学んでいきたいと思います。

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