なぜ太る? なぜ痩せる? 身体のエネルギー収支を考える
「最近、少し太った」
「体重が減った」
体重が変化すると、つい食べた量だけに目が向きがちです。
でも身体の中では、食事からエネルギーを取り入れる一方で、私たちは一日中エネルギーを使っています。
今回は、
「入ってくるエネルギー」と「使うエネルギー」
という視点から、体重が増えたり減ったりする基本的な仕組みを勉強してみます。
そして後半では、これまであまり触れてこなかった、
「食べているのに太れない」
という悩みについても考えてみます。
食べることは、身体にエネルギーを入れること
私たちは食事から、
炭水化物
脂質
たんぱく質
などの栄養素を摂っています。
これらは身体の中で消化・吸収され、エネルギー源になったり、身体をつくる材料になったりします。
食事というと、
「太らないために何を食べるか」
という方向から語られることが多いように感じます。
でも本来、食事は私たちが生きていくために欠かせないもの。
身体を動かし、身体を維持するためのエネルギーを取り入れる行為でもあります。
エネルギーを使うのは運動しているときだけじゃない
「カロリーを消費する」と聞くと、
ウォーキングやジョギング、筋トレなどをイメージしませんか?
もちろん運動でもエネルギーを使います。
でも、それだけではありません。
例えば今、椅子に座ってこの記事を読んでいる間にも身体は働いています。
呼吸する。
心臓を動かす。
体温を維持する。
脳を働かせる。
内臓を働かせる。
眠っている間でさえ、私たちの身体はエネルギーを使っています。
さらに、
通勤する。
仕事をする。
掃除をする。
料理をする。
買い物に行く。
こうした日常生活でもエネルギーは消費されています。
「運動していない=エネルギーを使っていない」ではないんですね。
体重が変わる基本は「エネルギー収支」
ここで今回の中心になる考え方です。
身体には、
食事から入ってくるエネルギー=摂取エネルギー
と、
身体が使うエネルギー=消費エネルギー
があります。
長い期間で見たときに、
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続けば、体重は増えやすくなります。
反対に、
消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る状態が続けば、体重は減りやすくなります。
両者が近い状態なら、体重は維持されやすくなります。
これをエネルギー収支といいます。
ただし、昨日たくさん食べたから今日すぐに脂肪が大幅に増える、というような単純な話ではありません。
体重は水分量や食事内容などによって日々変動します。
だから、一日単位の数字に一喜一憂するのではなく、ある程度長い期間で身体の変化を見ることも大切です。
消費エネルギーは大きく分けると3つ
一日に使うエネルギーは、大きく分けると、
基礎代謝
身体活動による消費
食事誘発性熱産生
があります。
基礎代謝は、呼吸や心拍、体温維持など、生きていくために必要な生命活動に使われるエネルギーです。
身体活動による消費は、運動だけではありません。
歩いたり、仕事をしたり、家事をしたりといった日常生活で使われるエネルギーも含まれます。
そして食事誘発性熱産生。
これは、食べたものを消化・吸収・代謝するときにもエネルギーが使われるということです。
つまり私たちは、
生きる。
動く。
食べる。
そのすべてでエネルギーを使っています。
必要なエネルギー量は、人によって違う
ここも、とても大切なところです。
同じ年齢なら同じ量を食べればいい。
同じ体重なら同じカロリーでいい。
というわけではありません。
身体の大きさ。
筋肉量。
年齢。
日常の活動量。
生活スタイル。
こうした違いによって、必要になるエネルギー量も変わります。
例えば一日中座って仕事をする人と、仕事中ずっと立ったり歩いたりしている人では、日常生活で使うエネルギーも違います。
だから、
「○kcal食べれば全員同じ」
とは考えられないんですね。
「食べているのに太れない」という人もいる
健康や美容の情報を見ていると、
「どうやって痩せるか」
という情報はたくさん見つかります。
でも反対に、
「もう少し体重を増やしたいのに増えない」
という人もいます。
そして、
「だったらもっと食べればいい」
だけで片付けられるほど単純ではない場合があります。
例えば、本人はしっかり食べているつもりでも、活動量が多く、必要なエネルギーに対して摂取量が足りていないこともあります。
一度にたくさん食べるのが苦手な人もいます。
食事回数が少なく、結果として一日の摂取量が少なくなっていることもあります。
また、年齢や身体の状態など、さまざまな要因も関係します。
だから、
「食べているのに太れない=本人の努力が足りない」
とは言えません。
体重が増えない背景に健康上の問題が隠れていることも
ここは少し注意したいところです。
昔から細身で、体重も安定していて、元気に生活している人と、
最近、意図していないのに体重が減ってきた人
では意味が違います。
食事量を減らしていないのに体重が減る。
食欲が大きく変化した。
消化器症状が続いている。
強い疲労感など、ほかの体調変化もある。
こうした場合には、単に「太りにくい体質」と自己判断せず、医療機関に相談することも大切です。
健康美を考えるうえでは、
体重を増やすことや減らすこと自体を目的にするのではなく、まず健康状態を見ること。
ここは忘れないようにしたいと思います。
「太る・痩せる」を意志の強さだけで考えない
「あの人は細いから努力している」
「太ったのは食べすぎたから」
「太れないなら、もっと食べればいい」
身体について勉強していくと、こうした単純な見方では説明できないことがたくさんあります。
もちろん食事や運動は大切です。
でも、人それぞれ身体も生活も違います。
だからこそ、
誰かの身体を基準に、自分の身体を評価しない。
このシリーズの最初にお話しした「健康美」に、また戻ってきます。
痩せたい人には、痩せたい人の健康がある。
今の身体を維持したい人もいる。
そして、太りにくいことに悩んでいる人もいる。
目指す身体が違えば、必要なアプローチも違います。
まずは「自分はどうなんだろう?」から
今回勉強したのは、太る・痩せる仕組みの基本です。
食事からエネルギーを取り入れる。
身体は一日中エネルギーを使っている。
その長期的なバランスが、体重の変化にも関係している。
ただし、その必要量や身体の反応には個人差があります。
だから最初にすることは、
食べる量を減らすことでも、無理に増やすことでもありません。
自分はどのくらい食べているのか。
普段どのくらい動いているのか。
最近、体重はどう変化しているのか。
体調はどうなのか。
まず自分の身体を知る。
そこから、自分に必要なことを考えていく。
健康を土台に、何歳になっても美容を楽しむ。
健康美について、これからも一緒に勉強していきたいと思います。
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