前回は、ヘナがオレンジ色に染まるカギとなる色素成分、
「ローソン(lawsone)」
についてお話ししました。
ヘナの葉っぱや粉は緑色なのに、白髪に使うとオレンジ色に染まる。
その発色に関わっているのがローソンです。
では今回はもう一歩進んで、
なぜその色がシャンプーをしても髪に残るのか?
少しだけ「髪と化学」の世界に入ってみます。
髪の主成分は「ケラチン」
まず知っておきたいのが、髪が何からできているのか。
髪の大部分を占めているのは、
「ケラチン」というタンパク質です。
そしてタンパク質は、「アミノ酸」という小さな単位がたくさんつながってできています。
つまり、
アミノ酸
↓
たくさんつながる
↓
タンパク質(ケラチン)
↓
髪をつくる
というイメージです。
ローソンは、ただ髪の表面に乗っているだけではない
ヘナを「植物の色を髪の表面につけているだけ」と考えると、
「シャンプーしたら全部落ちてしまうんじゃないの?」
と思いますよね。
でも実際には、そう単純ではありません。
ローソンは、髪のケラチンに存在する反応可能な部位と相互作用し、定着していくと考えられています。
さらに化学的に見ると、ローソンはキノン構造を持つ化合物です。
キノンは反応性を持つ構造で、タンパク質に存在するアミノ基などの求核性部位と反応し、共有結合を形成しうることが知られています。
ちょっと難しくなりましたね(笑)
「くっつく」というより「結びつく」
ここで大切なのは、細かな化学反応を覚えることではありません。
イメージとしては、
ヘナの色素が髪の表面にペタッと乗っているだけではなく、髪をつくるタンパク質と化学的に結びつくことがある。
だから、一度シャンプーしただけですべての色が簡単に流れてしまうわけではない。
ヘナの染まり方を理解するうえで、ここはとてもおもしろい部分だと思います。
もちろん実際の毛髪上での染着は、共有結合だけですべてを説明できるような単純なものではありません。
水素結合などを含めた複数の相互作用も関係すると考えられています。
そのため、
「ヘナは髪と共有結合するから絶対に落ちない」
という意味ではありません。
実際、ヘナも時間の経過や日々のシャンプーなどによって色の見え方は変化していきます。
植物の話から、だんだん化学の世界へ
ヘナについて調べていくと、
「植物だから染まる」
だけでは終わらないところがおもしろいんです。
ヘナの葉に含まれるローソン。
髪をつくるケラチン。
ケラチンをつくるアミノ酸。
そして、それぞれの分子がどう関わるのか。
こうして見ていくと、ヘナも立派な「毛髪化学」の話になってきます。
とはいえ、お客様に化学式を覚えていただきたいわけではありません(笑)
このシリーズでは、
「なぜヘナはこうなるの?」
という疑問を、一つずつできるだけわかりやすく紐解いていきたいと思っています。
ヘナは知れば知るほど、なかなか奥深い植物です。
コメントを残す