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  • 美容師が学ぶ「健康美」⑤

    なぜ太る? なぜ痩せる? 身体のエネルギー収支を考える

    「最近、少し太った」

    「体重が減った」

    体重が変化すると、つい食べた量だけに目が向きがちです。

    でも身体の中では、食事からエネルギーを取り入れる一方で、私たちは一日中エネルギーを使っています。

    今回は、

    「入ってくるエネルギー」と「使うエネルギー」

    という視点から、体重が増えたり減ったりする基本的な仕組みを勉強してみます。

    そして後半では、これまであまり触れてこなかった、

    「食べているのに太れない」

    という悩みについても考えてみます。

    食べることは、身体にエネルギーを入れること

    私たちは食事から、

    炭水化物
    脂質
    たんぱく質

    などの栄養素を摂っています。

    これらは身体の中で消化・吸収され、エネルギー源になったり、身体をつくる材料になったりします。

    食事というと、

    「太らないために何を食べるか」

    という方向から語られることが多いように感じます。

    でも本来、食事は私たちが生きていくために欠かせないもの。

    身体を動かし、身体を維持するためのエネルギーを取り入れる行為でもあります。

    エネルギーを使うのは運動しているときだけじゃない

    「カロリーを消費する」と聞くと、

    ウォーキングやジョギング、筋トレなどをイメージしませんか?

    もちろん運動でもエネルギーを使います。

    でも、それだけではありません。

    例えば今、椅子に座ってこの記事を読んでいる間にも身体は働いています。

    呼吸する。

    心臓を動かす。

    体温を維持する。

    脳を働かせる。

    内臓を働かせる。

    眠っている間でさえ、私たちの身体はエネルギーを使っています。

    さらに、

    通勤する。
    仕事をする。
    掃除をする。
    料理をする。
    買い物に行く。

    こうした日常生活でもエネルギーは消費されています。

    「運動していない=エネルギーを使っていない」ではないんですね。

    体重が変わる基本は「エネルギー収支」

    ここで今回の中心になる考え方です。

    身体には、

    食事から入ってくるエネルギー=摂取エネルギー

    と、

    身体が使うエネルギー=消費エネルギー

    があります。

    長い期間で見たときに、

    摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続けば、体重は増えやすくなります。

    反対に、

    消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る状態が続けば、体重は減りやすくなります。

    両者が近い状態なら、体重は維持されやすくなります。

    これをエネルギー収支といいます。

    ただし、昨日たくさん食べたから今日すぐに脂肪が大幅に増える、というような単純な話ではありません。

    体重は水分量や食事内容などによって日々変動します。

    だから、一日単位の数字に一喜一憂するのではなく、ある程度長い期間で身体の変化を見ることも大切です。

    消費エネルギーは大きく分けると3つ

    一日に使うエネルギーは、大きく分けると、

    基礎代謝

    身体活動による消費

    食事誘発性熱産生

    があります。

    基礎代謝は、呼吸や心拍、体温維持など、生きていくために必要な生命活動に使われるエネルギーです。

    身体活動による消費は、運動だけではありません。

    歩いたり、仕事をしたり、家事をしたりといった日常生活で使われるエネルギーも含まれます。

    そして食事誘発性熱産生。

    これは、食べたものを消化・吸収・代謝するときにもエネルギーが使われるということです。

    つまり私たちは、

    生きる。
    動く。
    食べる。

    そのすべてでエネルギーを使っています。

    必要なエネルギー量は、人によって違う

    ここも、とても大切なところです。

    同じ年齢なら同じ量を食べればいい。

    同じ体重なら同じカロリーでいい。

    というわけではありません。

    身体の大きさ。

    筋肉量。

    年齢。

    日常の活動量。

    生活スタイル。

    こうした違いによって、必要になるエネルギー量も変わります。

    例えば一日中座って仕事をする人と、仕事中ずっと立ったり歩いたりしている人では、日常生活で使うエネルギーも違います。

    だから、

    「○kcal食べれば全員同じ」

    とは考えられないんですね。

    「食べているのに太れない」という人もいる

    健康や美容の情報を見ていると、

    「どうやって痩せるか」

    という情報はたくさん見つかります。

    でも反対に、

    「もう少し体重を増やしたいのに増えない」

    という人もいます。

    そして、

    「だったらもっと食べればいい」

    だけで片付けられるほど単純ではない場合があります。

    例えば、本人はしっかり食べているつもりでも、活動量が多く、必要なエネルギーに対して摂取量が足りていないこともあります。

    一度にたくさん食べるのが苦手な人もいます。

    食事回数が少なく、結果として一日の摂取量が少なくなっていることもあります。

    また、年齢や身体の状態など、さまざまな要因も関係します。

    だから、

    「食べているのに太れない=本人の努力が足りない」

    とは言えません。

    体重が増えない背景に健康上の問題が隠れていることも

    ここは少し注意したいところです。

    昔から細身で、体重も安定していて、元気に生活している人と、

    最近、意図していないのに体重が減ってきた人

    では意味が違います。

    食事量を減らしていないのに体重が減る。

    食欲が大きく変化した。

    消化器症状が続いている。

    強い疲労感など、ほかの体調変化もある。

    こうした場合には、単に「太りにくい体質」と自己判断せず、医療機関に相談することも大切です。

    健康美を考えるうえでは、

    体重を増やすことや減らすこと自体を目的にするのではなく、まず健康状態を見ること。

    ここは忘れないようにしたいと思います。

    「太る・痩せる」を意志の強さだけで考えない

    「あの人は細いから努力している」

    「太ったのは食べすぎたから」

    「太れないなら、もっと食べればいい」

    身体について勉強していくと、こうした単純な見方では説明できないことがたくさんあります。

    もちろん食事や運動は大切です。

    でも、人それぞれ身体も生活も違います。

    だからこそ、

    誰かの身体を基準に、自分の身体を評価しない。

    このシリーズの最初にお話しした「健康美」に、また戻ってきます。

    痩せたい人には、痩せたい人の健康がある。

    今の身体を維持したい人もいる。

    そして、太りにくいことに悩んでいる人もいる。

    目指す身体が違えば、必要なアプローチも違います。

    まずは「自分はどうなんだろう?」から

    今回勉強したのは、太る・痩せる仕組みの基本です。

    食事からエネルギーを取り入れる。

    身体は一日中エネルギーを使っている。

    その長期的なバランスが、体重の変化にも関係している。

    ただし、その必要量や身体の反応には個人差があります。

    だから最初にすることは、

    食べる量を減らすことでも、無理に増やすことでもありません。

    自分はどのくらい食べているのか。

    普段どのくらい動いているのか。

    最近、体重はどう変化しているのか。

    体調はどうなのか。

    まず自分の身体を知る。

    そこから、自分に必要なことを考えていく。

    健康を土台に、何歳になっても美容を楽しむ。

    健康美について、これからも一緒に勉強していきたいと思います。

  • 美容師が学ぶ「健康美」④

    脂肪って、本当に悪者?

    「脂肪」と聞くと、どんなイメージがありますか?

    落としたい。
    燃やしたい。
    できるだけ少ない方がいい。

    美容や健康について調べていると、「脂肪を減らす」という情報を本当によく目にします。

    もちろん、体脂肪が増えすぎることで健康上のリスクにつながることはあります。

    でも今回、脂肪について改めて勉強してみると、

    「脂肪=身体にとって邪魔なもの」

    というほど単純ではないことが分かりました。

    今回は、少しだけ脂肪を見る目を変えてみたいと思います。

    そもそも、なぜ身体には脂肪があるの?

    脂肪には、ちゃんと役割があります。

    例えば、食事から得たエネルギーを蓄えて、必要なときに利用できるようにすること。

    皮下脂肪には身体から熱が逃げるのを抑える働きがあり、脂肪は身体の組織や臓器を保護することにも関わっています。

    つまり脂肪は、

    ただ身体についている「余分なお肉」ではありません。

    私たちが生きていくために必要な組織の一つです。

    脂肪は「エネルギーの倉庫」だけでもない

    さらに面白いのがここです。

    脂肪組織は、単にエネルギーを蓄えているだけではありません。

    さまざまな物質を分泌し、食欲や代謝など身体の働きにも関わっています。

    例えば、脂肪細胞から分泌されるものの一つにレプチンがあります。

    レプチンは食欲やエネルギー消費の調節に関わるホルモンです。

    ほかにも、アディポネクチンなど、代謝に関係する物質が脂肪組織から分泌されています。

    つまり脂肪組織は、

    ただ蓄えるだけではなく、身体の中で働いている組織

    でもあるわけです。

    私自身、「脂肪」という言葉からはどうしても「減らすもの」というイメージを持っていました。

    でも身体について勉強すると、見え方が少し変わってきます。

    じゃあ、脂肪は多いほどいい?

    もちろん、そういうことでもありません。

    必要なものなら、たくさんあった方がいい。

    という単純な話ではありません。

    特に内臓脂肪が過剰に蓄積した状態は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と関係します。

    一方で、体脂肪を極端に少なくすることも、身体にとって良いとは限りません。

    だから、

    「多い=悪い」
    「少ない=良い」

    だけでは考えない。

    自分の身体にとってどうなのかを見ることが大切になります。

    「体脂肪率」って何?

    ここでよく聞くのが体脂肪率です。

    体脂肪率とは、

    体重のうち、脂肪が占める割合

    のことです。

    例えば、

    体重55kg
    体脂肪率25%

    だった場合、

    55kg × 0.25 = 13.75kg

    単純計算では、体脂肪量は約13.8kgとなります。

    残りがすべて筋肉という意味ではありません。

    身体には筋肉だけでなく、骨、臓器、水分などもあります。

    だから体重だけを見るよりも、

    「その体重の中身はどうなっているんだろう?」

    と考えることが大切です。

    同じ55kgでも身体は同じじゃない

    前回の筋肉の話ともつながります。

    例えば、同じ身長で同じ55kgの人が2人いたとしても、

    筋肉量が同じとは限りません。

    体脂肪量も同じとは限りません。

    骨格や水分量などにも個人差があります。

    つまり、

    体重という数字が同じでも、身体の中身は違います。

    だからこそ「○kgなら理想」「○kgになれば健康」と、体重だけで決めることはできません。

    BMIも体脂肪率も体重も、自分の身体を知るための一つの情報として利用する。

    一つの数字だけを「正解」にしないことも大切なのだと思います。

    同じ脂肪でも「皮下脂肪」と「内臓脂肪」がある

    そして脂肪について、もう一つ知っておきたいことがあります。

    代表的なものが、

    皮下脂肪と内臓脂肪

    です。

    皮下脂肪は、その名前の通り皮膚の下に蓄積する脂肪です。

    一方、内臓脂肪は主に腹腔内の内臓の周囲に蓄積します。

    この二つは、単に「ついている場所が違う」だけではありません。

    特に内臓脂肪の過剰な蓄積は、さまざまな代謝異常との関連が知られています。

    同じ「体脂肪」という言葉でも、

    どこに、どのようについているのか

    という違いがあるんですね。

    「脂肪を減らす=健康」とは限らない

    ここまで勉強すると、最初の疑問に戻ってきます。

    健康のためには、脂肪を減らせばいいのでしょうか?

    これは、その人によって違います。

    体脂肪が多く、減らすことが健康につながる人もいるでしょう。

    今の状態を維持することが大切な人もいる。

    そして反対に、

    痩せていて、これ以上体重を減らす必要がない人もいます。

    世の中には「健康的に痩せる」という情報がたくさんあります。

    でも、

    食べても体重が増えにくい。

    年齢とともに痩せてきた。

    もう少し体重を増やしたい。

    そんな悩みを持っている人もいます。

    このシリーズでは、そうした「太りにくい人の健康」についても、この先きちんと勉強していきます。

    脂肪を敵にしない

    今回、私が一番伝えたかったのはここです。

    脂肪は「敵」ではありません。

    身体に必要な、大切なものです。

    ただし、必要だから多ければ多いほどいいわけでもない。

    筋肉も必要。

    脂肪も必要。

    そして、そのバランスや身体の状態は一人ひとり違います。

    だから目指すのは、

    「脂肪をなくすこと」ではなく、自分の身体を知ること。

    痩せたい人も。

    今を維持したい人も。

    太りにくくて悩んでいる人も。

    誰かの身体や数字を「正解」にして自分を合わせるのではなく、自分の身体には何が必要なのかを考えていく。

    それが、このシリーズで考えている「健康美」の土台です。

    健康があって、その先に美容がある。

    何歳になっても美容を楽しむために、私自身も一つずつ身体について学んでいきたいと思います。

  • 美容師が学ぶ「健康美」③

    「痩せた!」そのとき、何が減った?

    前回の「健康美②」では、体重とBMIについて勉強しました。

    そこで出てきたのが、

    同じ体重でも、身体の中身は同じとは限らない

    という話です。

    体重は、筋肉・脂肪・骨・水分・内臓など、さまざまなものを全部合わせた数字。

    だから体重が減ったときも、

    「3kg痩せた!」

    という数字だけではなく、

    「何が3kg減ったんだろう?」

    という視点も大切になります。

    今回は「身体の中身」の一つ、筋肉について勉強していきます。

    筋肉は「力こぶ」を作るためだけじゃない

    筋肉というと、

    筋トレをする人。
    スポーツをする人。
    ムキムキな身体。

    そんなイメージが強いかもしれません。

    でも、筋肉はもっと身近なところで毎日働いています。

    立つ。

    歩く。

    椅子から立ち上がる。

    階段を上る。

    荷物を持つ。

    姿勢を保つ。

    こうした当たり前の動作にも筋肉が使われています。

    また筋肉は、身体を動かすだけではなく、熱を生み出すことにも関わっています。

    つまり筋肉は、見た目を引き締めるためだけのものではありません。

    私たちが毎日生活するために必要な身体の組織です。

    筋肉は年齢とともに減りやすくなる

    筋肉量はずっと同じではありません。

    個人差はありますが、加齢に伴って筋肉量は減少する傾向があります。

    さらに、年齢だけではなく、

    運動量の低下や食事など、さまざまな要因も筋肉の状態に関係します。

    だから大人世代では、

    「体重が増えたか、減ったか」

    だけではなく、

    「筋肉を保てているだろうか?」

    という視点も持っておきたいところです。

    「3kg減った!」でも中身は同じ?

    例えば、以前より体重が3kg減ったとします。

    数字だけを見れば、

    −3kg

    です。

    でも、その3kgの中身は人によって違います。

    余分な体脂肪が減ったのかもしれない。

    筋肉も一緒に減っているかもしれない。

    もちろん実際の身体では、水分などさまざまなものが関係するので、体重の変化を「脂肪か筋肉か」の二択だけで考えることはできません。

    それでも、

    体重が減った=すべて良い変化

    とは限らないことは知っておきたいと思います。

    大切なのは、

    「何kg減った?」だけではなく「身体がどう変わった?」

    を見ることです。

    筋肉が減ると、日常生活にも影響する

    筋肉量や筋力が低下してくると、見た目だけではなく日常生活にも変化が現れることがあります。

    以前より歩くのが大変になった。

    階段の上り下りがつらくなった。

    椅子から立ち上がるのが大変になった。

    重い荷物を持ちにくくなった。

    こうした変化は、単に「年齢だから仕方ない」と片付けるのではなく、身体の状態を知る一つのきっかけにもなります。

    体重計の数字がそれほど変わっていなくても、身体の中では変化が起きている可能性があります。

    「サルコペニア」という言葉

    ここで一つ覚えておきたい言葉があります。

    サルコペニアです。

    サルコペニアとは、加齢などに伴う筋肉量の減少に加えて、筋力や身体機能が低下した状態を指します。

    ここで大切なのは、

    「痩せている人=サルコペニア」ではない

    ということ。

    見た目や体重だけで判断するものではありません。

    逆に、体重がそれほど減っていなくても、筋肉量や筋力が低下していることもあります。

    だからこそ、

    「体重が変わっていないから大丈夫」

    とも言い切れないわけです。

    昨日の「BMI」の話ともつながる

    例えば同じ55kgの人が2人いたとします。

    体重は同じです。

    BMIも身長が同じなら同じになります。

    でも、

    筋肉量が多い人。

    体脂肪の割合が多い人。

    身体の中身は同じとは限りません。

    だからBMIも体重も、自分の身体を知るための一つの目安。

    数字だけで身体の状態すべてを判断することはできません。

    昨日の勉強が、ここにつながってきます。

    筋肉は「見た目」にも関わっている

    そして美容師として考えると、筋肉は美容とも無関係ではありません。

    筋肉は身体を動かし、姿勢を支えています。

    立ち姿。

    歩き方。

    身体のライン。

    動作や立ち姿も、その人の印象をつくる一つの要素です。

    ただし、ここで、

    「筋肉が多い人ほど美しい」

    という新しい美しさの基準を作りたいわけではありません。

    ムキムキになる必要もありません。

    細くなることだけを目標にする必要もありません。

    その人がその人らしく、元気に身体を動かせること。

    健康美という視点では、そこを大切にしたいと思っています。

    何のために筋肉を保つのか?

    私は、ここが一番大切だと思っています。

    筋肉を保つ目的は、見た目だけではありません。

    買い物に行く。

    仕事をする。

    旅行に行く。

    趣味を楽しむ。

    家族や友人と出かける。

    行きたいところへ自分の足で行く。

    そんな毎日の「やりたい」を、できるだけ長く楽しむためでもあります。

    今の体重計の数字だけを見るのではなく、

    5年後、10年後も自分らしく生活できる身体を考える。

    筋肉について知ることは、未来の自分について考えることでもあるのだと思います。

    今日からできることを少しずつ

    筋肉について知ると、

    「じゃあ筋トレしなきゃ!」

    と思うかもしれません。

    でも、いきなり特別なことをする必要はありません。

    身体を動かすこと。

    必要な栄養を摂ること。

    しっかり休むこと。

    そして無理なく続けること。

    日々の生活そのものが、これからの身体につながっています。

    このシリーズでは今後、運動や食事についても少しずつ掘り下げていきます。

    そして、最初から繰り返しているように、

    「痩せること」だけを健康のゴールにはしません。

    痩せたい人もいる。

    体重を維持したい人もいる。

    反対に、太りにくいことや体重が増えないことに悩んでいる人もいます。

    身体は一人ひとり違います。

    だからまずは、

    体重という数字だけではなく、自分の身体の中身を知ること。

    健康を土台に、何歳になっても美容を楽しむために。

    私自身も美容師として、身体について一つずつ学んでいきたいと思います。

  • 美容師が学ぶ「健康美」②

    痩せるだけが健康じゃない。まず「体重」をどう見る?

    前回から始めた「健康美」シリーズ。

    第1回では、「きれい」の基準は本当に一つなのか?というところから、私なりに考えていることを書きました。

    今回からは、もう少し具体的に身体について勉強していきます。

    最初のテーマは「体重」です。

    「健康のために痩せる」はよく聞くけれど

    世の中には、

    「健康的に痩せよう」
    「40代からのダイエット」
    「○kg痩せる方法」

    といった情報がたくさんあります。

    もちろん、体重が増えすぎることで健康上のリスクが高くなることはあります。

    ただ、ここで一つ気になることがあります。

    体重は少なければ少ないほど健康なのでしょうか?

    答えは、そう単純ではありません。

    世の中には「痩せたい」という人がいる一方で、

    「食べているのに体重が増えない」

    「若い頃より痩せてきた」

    「もう少し体重を増やしたい」

    という人もいます。

    特に年齢を重ねてからの体重減少は、必ずしも喜ばしい変化とは限りません。

    健康を考えるなら、

    「増えすぎ」だけではなく「減りすぎ」についても考える必要があります。

    体重を見る一つの目安「BMI」

    そこで、まず知っておきたいのがBMIです。

    BMI(Body Mass Index)は、身長と体重から算出する指標です。

    計算式は、

    BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

    です。

    日本肥満学会の成人に対する判定では、

    18.5未満:低体重(やせ)
    18.5以上25未満:普通体重
    25以上:肥満

    とされています。

    例えば、

    身長160cm、体重55kgの場合、

    55 ÷ 1.6 ÷ 1.6 = 約21.5

    となります。

    BMIでは「普通体重」に分類されます。

    自分の身長に対して体重がどのくらいなのかを知る、一つの目安になります。

    でも、BMIだけで健康は分かる?

    ここが今回、私が一番伝えたいところです。

    例えば、

    身長160cm、体重55kg、BMI約21.5

    という人が2人いたとします。

    数字だけを見れば、まったく同じです。

    でも、一人は筋肉量が多く、もう一人は筋肉量が少ないかもしれません。

    体脂肪の割合も違うでしょう。

    つまり、

    同じ体重でも「身体の中身」は違います。

    体重は、筋肉、脂肪、骨、水分、内臓など、さまざまなものを全部合わせた数字です。

    体重計に乗って表示される「55kg」だけでは、それぞれがどのくらいあるのかまでは分かりません。

    BMIも同様です。

    身長と体重から身体の大きさを把握するためには便利な指標ですが、筋肉量や体脂肪率などを直接測っているわけではありません。

    だから、

    「BMIが普通だから絶対に健康」

    とも、

    「BMIが高いから、その分すべて体脂肪が多い」

    とも言い切れないわけです。

    筋肉も「体重」の一部

    ここは意外と忘れやすいところかもしれません。

    筋肉も当然、重さがあります。

    筋肉量が多くなれば、その分だけ体重が増えることがあります。

    そのため、筋肉質な人ではBMIが高くても、単純に体脂肪が多いとは判断できません。

    反対にBMIが普通の範囲でも、筋肉量が少ない場合もあります。

    つまり、

    体重が軽い=筋肉も十分にあって健康

    とは限りません。

    体重という数字を見ることは大切。

    でも、その数字だけで身体全体を評価することはできないのです。

    大人世代は「何kg減った?」だけではなく「何が減った?」

    そして40代以降の健康を考えるうえで、もう一つ知っておきたいことがあります。

    それが筋肉量の変化です。

    年齢を重ねると、活動量や食事、さまざまな身体の変化などによって筋肉量が減っていくことがあります。

    例えば以前より3kg体重が減ったとして、

    「やった!3kg痩せた!」

    と思ったとしても、その3kgがすべて余分な体脂肪とは限りません。

    筋肉が減ったことで体重が落ちている可能性もあります。

    だからこそ、大人世代では、

    「何kg減った?」だけではなく、
    「何が減った?」

    という視点も大切になってきます。

    体重は「答え」ではなく、自分を知る一つの情報

    ここまで書くと、

    「じゃあ体重なんて気にしなくていいの?」

    となりそうですが、そういうことでもありません。

    体重もBMIも、自分の身体を知るための大切な情報の一つです。

    ただ、それだけを「健康の答え」にしない。

    体重だけではなく、

    筋肉はどうだろう?

    体脂肪はどうだろう?

    以前と比べて体力は落ちていないだろうか?

    食事はきちんと摂れているだろうか?

    身体を動かす習慣はあるだろうか?

    そんなふうに、少し広い視点で身体を見ることが大切なのだと思います。

    痩せたい人も、太りたい人も

    健康美というと、「健康的に痩せる」という方向に話が進みがちです。

    でも、このシリーズではそこだけにしたくありません。

    痩せたい人もいる。

    太りたい人もいる。

    筋肉をつけたい人もいる。

    今の身体を維持したい人もいる。

    年齢も骨格も筋肉量も生活も違うのですから、全員が同じ身体を目指す必要はありません。

    大切なのは、

    理想とされる数字に自分を合わせることではなく、自分の身体を知ること。

    体重は、そのための一つの手がかりです。

    そして、その数字の奥にある「身体の中身」にも目を向ける。

    健康を土台に、何歳になっても美容を楽しむために。

    これから筋肉や体脂肪、年齢による身体の変化などについても、美容師として一つずつ勉強していきたいと思います。

  • 美容師が学ぶ「健康美」①

    「きれい」の正解って、誰が決めた?

    今回から新しく、「健康美」について学んでいきたいと思います。

    美容師として仕事をしていると、当然ですが毎日「美しさ」と向き合います。

    きれいになりたい。
    素敵でいたい。
    若々しくいたい。

    私は、この気持ちは何歳になっても持っていてほしいと思っています。

    髪をきれいにする。
    メイクをする。
    好きな洋服を着る。
    運動をする。

    「もう少し素敵になりたい」という気持ちは、美容を楽しむ大きな原動力になるからです。

    でも最近、少しだけ考えることがあります。

    本当に「美しさ」は多様になった?

    最近は「ルッキズム」という言葉をよく耳にします。

    見た目だけで人を評価しない。
    多様性を認める。
    ありのままの自分を大切にする。

    とても大切な考え方だと思います。

    一方で、テレビや雑誌、広告、SNS、モデルやアイドルなど、私たちが日常的に目にする「美しい人」を少し離れて眺めてみるとどうでしょう。

    「スタイルがいい」と評価される人は、今でもかなり細身であることが多いように感じます。

    もちろん、細いことが悪いと言いたいわけではありません。

    細身のスタイルを美しいと思うことも、そこに憧れることも一つの価値観です。

    ただ、

    一つの美しさが、いつの間にか「みんなの正解」になっていないだろうか?

    そこには少し疑問を感じています。

    身体は一人ひとり違う

    考えてみれば当たり前のことですが、人間の身体は同じではありません。

    身長も違います。

    骨格も違います。

    筋肉量も違います。

    脂肪のつき方も違います。

    年齢も違えば、生活習慣も違います。

    それなのに、見た目だけを比べて「細い方がスタイルがいい」と一つの物差しで判断することは、本当にその人自身の美しさを見ているのでしょうか。

    そんなことを考えるようになりました。

    美容師にもある「カバー」という考え方

    これは美容師である自分自身にも向けたい問いです。

    美容の世界では、

    「丸顔をカバーする」

    「面長をカバーする」

    「小顔に見せる」

    「若見えさせる」

    といった言葉をよく使います。

    もちろん、お客様自身が「ここを目立たなくしたい」と感じているのであれば、その気持ちに寄り添うことは美容師として大切です。

    でも、その前に。

    丸顔は、本当に隠さなければならないのでしょうか?

    丸みのある顔立ちなら、その柔らかさを活かして優しくキュートな印象にすることもできます。

    面長なら、その縦のラインを活かしてシャープでクールな雰囲気を作ることもできます。

    つまり、

    「カバーしない美容」ではなく、「カバーすることを前提にしない美容」。

    そんな考え方があってもいいのではないかと思っています。

    まず欠点を探すのではなく、その人が持っている特徴から「どんな素敵を作れるだろう?」と考える。

    それも美容師の仕事ではないでしょうか。

    「若々しくいたい」と思っていい

    「若見え」という言葉についても同じです。

    若く見られたい。

    いつまでも若々しくいたい。

    私は、その気持ちを否定したいわけではありません。

    むしろ、何歳になっても「きれいでいたい」「素敵でいたい」と思ってほしい。

    年齢を重ねることを理由に、美容を諦める必要なんてありません。

    ただし、

    若く見えることだけを、美しさの正解にはしたくない。

    年齢を重ねたからこそ似合う髪型もあります。

    ファッションもあります。

    表情や雰囲気にも、その人が生きてきた時間だからこそ生まれる魅力があります。

    若さを否定する必要もなければ、年齢を重ねることを無理に美化する必要もない。

    今の自分を知って、その特徴をどう活かしていくのか。

    私はそこに美容の面白さがあると思っています。

    そして一番大切なのが「健康」

    ここからが、このシリーズを始めようと思った一番の理由です。

    きれいになりたい。

    若々しくいたい。

    素敵でいたい。

    そのために痩せたい人もいるでしょう。

    反対に、痩せてしまうことに悩んでいて、もう少し体重を増やしたい人もいます。

    筋肉をつけたい人もいれば、今の身体を維持したい人もいます。

    目標は人それぞれです。

    でも、そのすべての土台にあってほしいものがあります。

    それが、

    「健康」です。

    美しくなるために健康を損なってしまったら、それは本当に目指していた「美しさ」なのでしょうか。

    細いことが正解でもない。

    太ることが正解でもない。

    若く見えることが正解でもない。

    大切なのは、自分の身体を知ること。

    そして健康を土台に、美容を楽しむこと。

    美容師として「健康美」を学ぶ

    これからこのシリーズでは、

    体重、BMI、体脂肪、筋肉、骨、栄養、運動、加齢による身体の変化などについて、一つずつ勉強していこうと思います。

    「痩せるため」だけのシリーズにはしません。

    痩せたい人。

    太りたい人。

    筋肉をつけたい人。

    年齢を重ねても元気に過ごしたい人。

    それぞれが自分の身体を知るきっかけになるような内容にしていきたいと思います。

    きれいになりたい。
    素敵でいたい。
    若々しくいたい。

    その気持ちは、ずっと持っていていい。

    でも、その一番下には健康がある。

    健康を土台に、何歳になっても美容を楽しむ。

    そんな「健康美」について、美容師として改めて学んでいきます。

  • 30日間学んでわかった「腸活」

    美容師が学ぶ腸活シリーズ。

    ついに30日目、最終回です。

    始めたときに私が持っていた「腸活」のイメージは、とてもシンプルなものでした。

    ヨーグルトを食べる。

    発酵食品を食べる。

    食物繊維を摂る。

    なんとなく、

    「腸に良さそうなものを食べること=腸活」

    だと思っていました。

    もちろん、それも腸活の一部です。

    でも30日間、毎日少しずつ腸について勉強してみると、途中からこんなことを思うようになりました。

    「これ、もう腸だけの話じゃないな」

    今回は30日間の総まとめ。

    私自身が勉強して、腸活に対する考え方がどう変わったのかを書いてみたいと思います。

    まずは「食べたものがどうなるのか?」から始まった

    私たちは毎日、当たり前のように食事をしています。

    でも、食べ物が口に入ってからどうなるのか。

    改めて考えてみると、知らないことがたくさんありました。

    食べ物は、





    小腸

    大腸

    と進んでいきます。

    口では噛むことや唾液によって消化が始まり、胃では胃液などによって食べ物が処理されます。

    そして小腸では、栄養素の多くが消化・吸収されます。

    その後、大腸では水分などが吸収されながら便が作られていきます。

    「腸=便を作るところ」

    くらいに思っていましたが、それだけではありませんでした。

    腸内細菌は「善玉菌を増やせばいい」ではなかった

    腸活について調べると、必ず出てくるのが腸内細菌です。

    以前の私は、

    善玉菌=良い
    悪玉菌=悪い

    くらいの理解でした。

    だから、

    「善玉菌をたくさん増やせばいいんじゃない?」

    と思っていました。

    でも実際の腸内環境は、そんなに単純ではありません。

    腸内には非常に多くの微生物が存在し、それぞれがさまざまな働きをしています。

    大切なのは、一種類の菌だけを見るのではなく、

    「腸内細菌全体がどのような状態にあるのか」

    という視点でした。

    食物繊維などを利用して腸内細菌が作る短鎖脂肪酸についても、このシリーズで勉強しました。

    腸内細菌は単なる「お腹の中にいる菌」ではなく、私たちの体と関わりながら生活している存在なんですね。

    食物繊維も「たくさん摂ればいい」ではない

    腸活といえば食物繊維。

    これは間違いではありません。

    でも食物繊維にも種類があります。

    そして、

    「食物繊維をたくさん摂れば、誰でも同じように調子が良くなる」

    とも限りません。

    発酵食品やプロバイオティクス、プレバイオティクスについても勉強しました。

    結局、大切なのは、

    「これだけ食べれば大丈夫」という食品を探すことではない。

    いろいろな食品を取り入れながら、自分の体調や生活に合わせて続けていく。

    水分についても同じでした。

    「毎日必ず○L」という数字だけを見るのではなく、食事や運動量、気温などによって必要量は変わります。

    腸活を勉強するほど、

    「○○だけやればいい」

    という答えから離れていきました。

    腸を勉強したら「免疫」の話になった

    腸について勉強して驚いたことの一つが、免疫との関係です。

    腸は食べ物を消化・吸収する場所であると同時に、外から入ってくるものと体の内側との大きな境界でもあります。

    そのため腸管には、多くの免疫細胞が存在しています。

    食べ物だけではなく、さまざまなものが通る場所だからこそ、

    「何を受け入れ、何に反応するのか」

    という免疫の仕組みが重要になります。

    ここまで来ると、

    「腸活=お腹の調子を整える」

    だけでは説明できなくなってきました。

    さらに脳まで出てきた

    そして次に登場したのが脳腸相関です。

    腸と脳は、自律神経やホルモン、免疫系などを介して双方向に影響し合っています。

    緊張するとお腹の調子が変わる。

    ストレスが続くと消化器の調子にも変化が出る。

    反対に、腸の状態が脳や気分などと関連することも研究されています。

    腸を勉強していたはずなのに、

    脳、自律神経、ストレス、睡眠……

    どんどん話が広がっていきました。

    でも、考えてみれば当然なのかもしれません。

    私たちの体は、臓器ごとに完全に独立しているわけではありません。

    全部つながって一つの体を作っています。

    食事だけではなく「生活」そのものが関係していた

    睡眠についても勉強しました。

    運動についても勉強しました。

    ストレスや生活リズムについても調べました。

    適度に体を動かすこと。

    睡眠時間や生活リズムを整えること。

    朝起きて食事をすること。

    ストレスとうまく付き合うこと。

    どれも「腸に良い食品」ではありません。

    でも、腸の働きと無関係ではありません。

    ここまで来て、ようやく私は、

    「腸活って、何を食べるかだけじゃないんだ」

    と実感しました。

    腸内環境はずっと同じでもない

    さらに腸内環境は、一度整えたらずっと同じ状態が続くわけでもありません。

    年齢。

    食生活。

    生活環境。

    薬。

    ストレス。

    睡眠。

    さまざまな影響を受けながら変化します。

    だから、

    「以前はこれで調子が良かったから、一生これを続ければいい」

    とも限りません。

    年齢を重ねれば、体も変わります。

    生活も変わります。

    だからこそ、

    自分の体の変化に気づくこと。

    これも腸活の一つなのではないかと思うようになりました。

    そして最後は「出す」というところまで

    シリーズの最後に勉強したのが排便でした。

    食べて、消化して、吸収して、便を作る。

    そこで終わりではありません。

    大腸が便を運び、

    直腸へ届き、

    便意を感じ、

    最後に体の外へ出す。

    そこには腸だけではなく、

    腹圧、骨盤底筋、呼吸、姿勢

    なども関係していました。

    排便では、お腹で押すだけではなく、骨盤底筋や肛門周囲を適切に緩めるという協調も必要です。

    トイレでの姿勢によっても体の使い方は変わります。

    30日目目前にして、

    腸活は「食べるところ」から「最後に出すところ」まで全部つながっている

    ことを知りました。

    30日間学んで、私が考える「腸活」

    ここまでを全部つなげてみると、私が最初に考えていた腸活とはずいぶん違います。

    今の私なら、腸活をこう考えます。

    食べる。

    飲む。

    動く。

    眠る。

    休む。

    出す。

    そして、

    自分の体の変化に気づく。

    何か特別な健康食品を始めることだけが腸活ではありません。

    毎日の生活そのものが、少しずつ腸につながっています。

    完璧じゃなくてもいい

    30日間勉強して、もう一つ思ったことがあります。

    知識が増えると、

    「ちゃんとした食事をしなきゃ」

    「運動しなきゃ」

    「早く寝なきゃ」

    と、全部完璧にやりたくなります。

    でも、それでは続きません。

    毎日理想的な食事ができなくてもいい。

    運動できない日があってもいい。

    夜更かししてしまう日だってあります。

    大切なのは、

    知っているから、また戻れること。

    一日できなかったから全部ダメではなく、また次の日から少し意識すればいい。

    腸活は短期間で結果を出すためのイベントではなく、毎日の生活の積み重ねなんだと思います。

    美容師が、なぜ腸について勉強するのか

    そもそも私は美容師です。

    では、なぜ美容師が30日間も腸について勉強したのか。

    理由は単純です。

    髪は体から作られているから。

    美容師は髪の外側に対して、カットやカラー、パーマ、トリートメントなど、さまざまな技術を行います。

    でも髪そのものを作っているのは、私たちの体です。

    髪について深く考えていけば、

    栄養。

    睡眠。

    運動。

    ストレス。

    年齢による変化。

    そして体の仕組み。

    どうしても、こうしたところにつながっていきます。

    もちろん、美容師が病気を診断したり、治療したりすることはできません。

    でも美容をきっかけに、

    「自分の体について、ちょっと知ってみようかな」

    と思ってもらうことはできるかもしれません。

    それが、このシリーズを始めた理由の一つです。

    30日間ありがとうございました

    最初は「腸活について勉強してみよう」というところから始まりました。

    でも終わってみると、

    腸内細菌。

    食物繊維。

    短鎖脂肪酸。

    免疫。

    薬。

    自律神経。

    睡眠。

    ストレス。

    運動。

    姿勢。

    骨盤底筋。

    排便。

    本当にいろいろなところまで話が広がりました。

    そして最後に残った答えは、意外とシンプルでした。

    「腸だけを整える」のではなく、
    「毎日の生活を整える」。

    そして、

    知ること。
    考えること。
    無理なく続けること。

    私自身、30日間で知らなかったことをたくさん知ることができました。

    でも、これで腸について全部分かったわけではありません。

    むしろ勉強すればするほど、まだ知らないことがあることに気づきます。

    これからも美容師として髪を学びながら、その髪を作る体についても少しずつ勉強を続けていきたいと思います。

    30日間、一緒に腸について学んでいただき、

    本当にありがとうございました。

  • トイレの姿勢で出しやすさは変わる?

    美容師が学ぶ腸活シリーズ、29日目です。

    腸活というと、

    食物繊維を摂る。
    水分を摂る。
    腸内環境を整える。

    そんな「何を食べるか」という話をイメージしがちです。

    でも、ここまで勉強してきて分かったのは、食べた後にも長い道のりがあるということ。

    食べる

    消化する

    便を作る

    大腸で運ぶ

    最後に出す

    前回は、この「最後に出す」というところで骨盤底筋が関係していることを勉強しました。

    そして今回は、さらにその続き。

    トイレに座る「姿勢」で、体の使い方は変わるのでしょうか?

    調べてみると、普段何気なく座っているトイレにも、ちゃんと体の仕組みが関係していました。

    排便には「出口の角度」が関係している

    前回登場したのが、骨盤底筋群の一部である**恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)**です。

    この筋肉は直腸を引っ張るように働き、普段は直腸と肛門の間に角度を作ることに関係しています。

    これは、便が勝手に出てしまわないための仕組みの一つです。

    そして排便するときには恥骨直腸筋が緩み、直腸と肛門の角度が変化して、便が通りやすい状態になります。

    つまり排便は、

    「お腹で便を押す」だけではなく、「出口を通りやすい状態にする」ことも大切。

    では、この角度に姿勢は関係するのでしょうか?

    座る姿勢と、しゃがむ姿勢

    普段イスに座るような姿勢と、しゃがむ姿勢に近づけた状態では、股関節や骨盤周辺の位置関係が変わります。

    研究では、しゃがむ姿勢に近づくことで、恥骨直腸筋による牽引が弱まり、直腸と肛門の角度がより開きやすくなることが報告されています。

    イメージとしては、

    普通に座った状態では少し曲がっている通り道が、

    しゃがむ姿勢に近づくことで、少し緩やかになるような感じです。

    もちろん、実際の体内がホースのように完全な一直線になるわけではありません。

    あくまで、排便するときの体の構造が変化するということです。

    洋式トイレではどうすればいい?

    昔の和式トイレなら自然としゃがむ姿勢になりますが、現在は洋式トイレが一般的です。

    だからといって、洋式トイレが悪いという話ではありません。

    洋式トイレでも、

    足元に小さな台を置く

    膝を股関節より少し高い位置にする

    上体をやや前へ傾ける

    といった方法で、しゃがむ姿勢に少し近づけることができます。

    肘を太ももや膝付近に置くと、上半身も安定しやすくなります。

    「良い姿勢」と聞くと、

    背筋をピーン!

    と伸ばした姿勢を想像しますよね。

    でも、普段の姿勢としての「良い姿勢」と、排便するときに体を使いやすい姿勢は、必ずしも同じではないんですね。

    「いきむ」って何をしている?

    便が出にくいと、

    「もっと力を入れなきゃ!」

    と思ってしまいます。

    顔を真っ赤にして、息を止めて、全身に力を入れる。

    私も「いきむ」と聞くと、そんなイメージを持っていました。

    でも前回勉強したように、排便では、

    お腹の圧力を使って押す

    骨盤底筋や肛門周囲を緩める

    という協調が必要です。

    つまり、

    「押す力」と「緩める力」のチームプレー。

    お腹で押しているのに、出口まで一緒に力んで締めてしまったら、うまく協調できません。

    だから「とにかく全身に力を入れる」ことが、必ずしも上手な排便とは限らないんですね。

    呼吸も関係している

    さらに、呼吸・腹圧・骨盤底筋はそれぞれ独立して働いているわけではありません。

    呼吸によって横隔膜が動き、それに伴って腹圧や骨盤底筋も影響を受けます。

    排便には腹圧が必要ですが、

    ずっと息を止めて全力でいきみ続ければいい

    というわけではありません。

    専門的な排便訓練でも、

    腹部を使って適切に圧をかけながら、骨盤底筋や肛門周囲を緩める。

    こうした協調を練習することがあります。

    ここでも大切なのは、

    「力を入れるか、入れないか」ではなく、必要な場所を必要なタイミングで使えるか。

    体って、本当によくできています。

    足台を使えば誰でも出しやすくなる?

    ここは誤解したくないところです。

    しゃがむ姿勢に近づけることで、直腸と肛門の角度などが変化することは研究されています。

    一方で、

    「足台を使えば、便秘の人は必ず改善する」

    とまでは言えません。

    実際に便秘のある人を対象にした研究では、足台によって姿勢は変化しても、排便機能の改善が確認できなかったという報告もあります。

    なぜなら便秘には、

    便の硬さ。

    大腸を移動する速さ。

    食事や水分。

    薬の影響。

    そして前回勉強した排便協調障害など、

    さまざまな原因があるからです。

    ですから足台も、

    「便秘を治すもの」ではなく、排便時に体を使いやすい姿勢を作るための一つの工夫

    くらいに考えるのがよさそうです。

    トイレに長く座れば出る?

    「もう少し待っていれば出るかも……」

    と、スマートフォンを見ながら長時間トイレに座ってしまう。

    これもやってしまいがちですよね。

    でも、便意がないのに長時間座り続けたり、何度も強くいきんだりする必要はありません。

    前回まで勉強したように、排便には体のリズムがあります。

    便意が来たときにトイレへ行き、無理に長時間頑張らない。

    姿勢だけではなく、排便のタイミングや習慣も一緒に考えることが大切です。

    「良い姿勢」は場面によって違う

    今回勉強したことをまとめると、

    排便には直腸と肛門の角度が関係する。

    膝を少し高くした姿勢では、しゃがむ姿勢に近づく。

    上体を少し前へ傾ける方法もある。

    排便は「押す+緩める」の協調が大切。

    全身で力いっぱい、長時間いきみ続ければいいわけではない。

    そして、

    足台は誰にでも有効な「便秘解消法」ではない。

    ということでした。

    腸活は「出すところ」まで

    29日間勉強してきて、腸活を見る範囲がずいぶん広がりました。

    最初は、

    「腸に良いものを食べる」

    というイメージが強かったのですが、

    食べる

    消化する

    吸収する

    腸内細菌が働く

    便を作る

    大腸で運ぶ

    最後に出す

    ここまで全部がつながっています。

    そして最後の「出す」にも、

    腸だけではなく、

    腹圧、骨盤底筋、呼吸、姿勢、生活リズム

    などが関わっていました。

    腸活は、腸だけを見ることではない。

    29日目まで勉強してきて、ようやくその意味が見えてきた気がします。

    次はいよいよ30日目。

    30日間学んで分かった「腸活とは何なのか?」

    これまで勉強してきたことを、最後に全部つなげてみたいと思います。

  • 便は来ているのに出ない?骨盤底筋と排便の仕組み

    美容師が学ぶ腸活シリーズ、28日目です。

    ここまで、腸内細菌、食物繊維、水分、運動、睡眠、ストレス、排便のリズムなど、いろいろな角度から腸について勉強してきました。

    便秘についても、

    「便が硬い」
    「腸の動きがゆっくり」
    「水分が足りない」

    など、さまざまな原因があることを学んできました。

    でも今回調べてみて、もう一つ大切な視点がありました。

    それが、

    「便は直腸まで来ているのに、最後にうまく出せない」

    という状態です。

    今回は「便をどう作るか」ではなく、最後にどうやって便を出しているのか?

    排便と骨盤底筋の関係を勉強してみます。

    骨盤底筋ってどこにある?

    骨盤の一番下には、ハンモックのように広がっている**「骨盤底筋群」**があります。

    膀胱や直腸、女性では子宮、男性では前立腺などがある骨盤内を下から支えている筋肉の集まりです。

    骨盤底筋は、排尿や排便、腹圧の調節などにも関係しています。

    「骨盤底筋」と聞くと、

    弱くなったら鍛える筋肉

    というイメージを持っている方も多いと思います。

    私もそうでした。

    でも排便について調べてみると、骨盤底筋にはもう一つ、とても重要な働きがありました。

    それが、

    「緩める」こと。

    排便するときには、筋肉を締めるだけではうまくいかないんです。

    排便は「チームプレー」

    便が大腸を進んで直腸に入ると、直腸が広がり、その情報が神経を通して伝わることで便意を感じます。

    そしてトイレに座って排便するときには、体の中でいくつもの動きが協力します。

    大きく分けると、

    お腹の圧力を使って便を押し出す

    そして同時に、

    骨盤底筋や肛門周囲を緩めて、便の出口を通りやすくする。

    つまり、

    「押す力」+「緩める力」

    この二つの協調が大切なんですね。

    力いっぱい「いきむ」だけが排便ではありません。

    押しているのに出口がうまく緩まなければ、便は通りにくくなってしまいます。

    出口には「角度」もある

    さらに面白かったのが**「恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)」**という筋肉です。

    これは骨盤底筋群の一部で、直腸の周囲を取り囲むように存在しています。

    普段は直腸と肛門の間に角度を作ることに関わり、便が漏れないようにする仕組みの一部を担っています。

    ところが排便するときには、この筋肉が緩みます。

    すると直腸と肛門の角度が変化して、便が通りやすい状態になります。

    つまり、

    普段は出口を守る。
    出すときには緩める。

    骨盤底筋は、ただ強ければいい筋肉ではなく、状況に合わせて働き方を変えているんですね。

    出そうとしているのに、逆に締めてしまう?

    本来の排便では、

    お腹で押す+出口を緩める

    という動きが協力します。

    ところが、便を出そうとしたときに骨盤底筋や肛門周囲が十分に緩まなかったり、逆に収縮してしまったりすることがあります。

    こうした状態は**「排便協調障害」**と呼ばれます。

    すると、

    便意はあるのに出にくい。

    何度もいきんでしまう。

    出し切れていない感じがする。

    といったことにつながる場合があります。

    つまり慢性的な便秘の中には、

    「腸が便を運べない」のではなく、「最後の出口でうまく出せない」

    というタイプもあるということです。

    じゃあ、骨盤底筋を鍛えればいい?

    ここが今回、私が一番勘違いしていたところです。

    骨盤底筋という言葉を聞くと、

    「弱いなら鍛えよう!」

    と考えてしまいます。

    もちろん骨盤底筋の筋力が必要な場面もあります。

    でも排便で大切なのは、単純な筋力だけではありません。

    必要なときには締める。

    そして、

    出すときには緩める。

    この切り替えが重要です。

    いくら筋力があっても、排便するときに出口を緩めることができなければ、スムーズに便を出すことはできません。

    だから、

    骨盤底筋=とにかく鍛えればいい

    ではないんですね。

    筋力だけではなく、腹圧・骨盤底筋・肛門周囲などがタイミングよく協調して働くことが大切です。

    「出し方」を再学習する治療もある

    では、こうした排便協調障害がある場合はどうするのでしょうか。

    専門的な検査で状態を確認したうえで行われる治療の一つに、

    「バイオフィードバック療法」

    があります。

    機器などを使って、自分の筋肉の動きや力の入り方を確認しながら、

    お腹で押す

    骨盤底筋や肛門周囲を緩める

    という排便時の体の使い方を練習します。

    つまり薬で便を柔らかくするという方法だけではなく、

    「出すときの体の使い方を再学習する」

    という治療もあるんですね。

    これは自己流で行う骨盤底筋トレーニングとは異なります。

    慢性的に出しにくい場合などには、必要に応じて医療機関で原因を調べることも大切です。

    便秘=「腸が動かない」だけじゃなかった

    今回勉強して、便秘を見る視点がまた一つ増えました。

    これまで、

    食べ物を変える。

    食物繊維を摂る。

    水分をとる。

    体を動かす。

    睡眠や生活リズムを整える。

    など、「便を作る」「便を運ぶ」という部分をたくさん学んできました。

    でも排便には、その先があります。

    最後にちゃんと出せるか?

    便を出すには、

    「押す力」と「緩める力」。

    そして、それらを適切なタイミングで使う体の協調が必要です。

    骨盤底筋も「鍛えるだけ」の筋肉ではなく、排便時にはきちんと緩むことが重要でした。

    腸活という言葉から、どうしても「腸の中」ばかりを想像してしまいます。

    でも、

    便を作るところから、最後に便を出すところまで。

    排便は腸だけの仕事ではありません。

    28日目にして、また一つ「腸活」の見え方が変わりました。

    残りあと2日。

    30日間学んできた腸活が、少しずつ一つにつながってきました。

  • 水を飲めば便秘は改善する?

    「便秘には水分をとりましょう」

    よく聞く言葉ですよね。

    水をたくさん飲むと、その水分が便に届いて、便が柔らかくなって出やすくなる。

    なんとなく、そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

    でも、体の中ではそれほど単純なことが起きているわけではありません。

    今回は、水分と便の関係について調べてみました。

    飲んだ水はどこへ行く?

    私たちが飲んだ水や、食事に含まれている水分は、消化管を通る過程で体内へ吸収されていきます。

    特に多くの水分が吸収されるのが小腸です。

    さらに大腸でも水分が吸収され、残ったものが便として排出されます。

    つまり、

    水を飲む

    その水が大腸まで流れる

    便を直接ふやかす

    という単純な仕組みではありません。

    体は必要な水分を吸収しながら、便の水分量も調節しているんですね。

    では、なぜ便は硬くなる?

    ここで関係してくるのが、大腸を便が通過する時間です。

    大腸では、内容物が運ばれている間にも水分が吸収されます。

    そのため、大腸に長くとどまるほど水分が吸収され、便は硬くなりやすくなります。

    つまり便の硬さを考えるときは、

    「水をどのくらい飲んだか」だけではなく、「便が大腸をどのように移動しているか」も大切。

    水分だけを見ていても、便秘のすべては説明できないということです。

    じゃあ、水をたくさん飲めばいい?

    もともと水分が不足している人なら、適切に水分を補うことは大切です。

    脱水状態では、体は水分をできるだけ保持しようとするため、便も硬くなりやすくなります。

    一方で、普段から十分に水分を摂っている人が、さらに大量の水を飲めば、その分だけ便が柔らかくなるとは限りません。

    よく、

    「便秘なら、とにかく水を2L飲む」

    という話を聞きますが、必要な水分量は体格や食事、運動量、気温、発汗量などによっても変わります。

    大切なのは数字だけを目標にすることではなく、

    「自分は水分が足りているのか?」

    と考えることなんですね。

    食物繊維と水分の関係

    水分について考えるとき、一緒に見ておきたいのが食物繊維です。

    食物繊維には大きく分けて、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。

    水溶性食物繊維には、水分を含んでゲル状になる性質があります。

    不溶性食物繊維は便のかさを増やすことなどによって、排便を支える働きがあります。

    つまり、

    水分だけではなく、何を食べているのかも大切。

    ただし、ここでも「食物繊維をたくさん摂れば摂るほどいい」というわけではありません。

    便秘の状態や体調によっては、食物繊維の種類や摂り方に注意が必要な場合もあります。

    腸活では、何か一つを大量に摂るのではなく、全体のバランスを見ることが大切なんですね。

    「朝の一杯の水」には意味がある?

    「朝起きたら、まず一杯の水」

    これも腸活ではよく聞きます。

    ただし、朝飲んだ水がすぐに大腸まで届いて、便を柔らかくしているわけではありません。

    前回勉強したように、大腸には一日の活動リズムがあります。

    睡眠中は活動が低下し、目覚める頃から活発になりやすくなります。

    そこに、

    起きる

    水分をとる

    朝食を食べる

    体を動かす

    便意が来たらトイレへ行く

    という一連の行動が加わります。

    朝食を食べることで起こる**「胃結腸反射」**も、大腸が動くきっかけの一つです。

    ですから「朝の一杯」は、それだけで便秘を改善する魔法の方法というより、

    朝の生活リズムを作る習慣の一つ

    と考えると分かりやすいと思います。

    「水を飲めば出る」ほど単純ではない

    ここまで調べてみると、便秘と水分の関係も、一つの原因だけでは説明できないことが分かります。

    水分不足なら、適切に水分を補う。

    食事では食物繊維なども意識する。

    適度に体を動かす。

    睡眠をとる。

    便意が来たら、できるだけそのタイミングを逃さない。

    そして、自分の生活リズムを整える。

    食べる・飲む・動く・眠る・出す。

    「便秘だから、とにかく水をたくさん飲もう」ではなく、

    まずは、

    「自分はそもそも水分が足りているのかな?」

    と考えてみる。

    腸活を勉強していると、何度も同じところに戻ってきます。

    何か一つの方法ですべてを解決しようとするのではなく、毎日の小さな習慣を少しずつ整えていく。

    やっぱり、それが腸活の基本なのかもしれません。

  • 朝、腸が動きやすいのはなぜ?

    朝起きて、ご飯を食べたらトイレへ。

    毎朝ほぼ同じ時間に便意が来る人もいれば、朝はまったく出ないという人もいます。

    では、そもそもなぜ「朝」は腸が動きやすいのでしょう?

    今回は、腸の一日のリズムと排便の関係について調べてみました。

    腸にも一日のリズムがある

    私たちの体には、約24時間周期で働く**「概日リズム(体内時計)」**があります。

    眠くなる、目が覚めるといった睡眠のリズムだけではありません。

    ホルモンの分泌や代謝、体温、そして消化管の働きにも一日のリズムがあります。

    大腸の動きも24時間ずっと一定ではなく、睡眠中は活動が低下し、目覚める頃から活発になりやすいことが知られています。

    つまり朝は、もともと大腸が動き出しやすい時間帯なんですね。

    「起きる」こと自体が腸のスイッチになる

    朝、目を覚まして活動を始めると、大腸では内容物を大きく先へ送り出す動きが起こりやすくなります。

    寝ている間は比較的静かだった大腸も、起床とともに活動モードへ。

    ただし、

    「朝になれば必ず便意が起こる」

    というわけではありません。

    排便には便の量や硬さ、食事、水分、運動、生活習慣など、さまざまなものが関係しています。

    ここでも一つの要因だけで決まるわけではないんですね。

    朝ごはんを食べるとトイレに行きたくなるのはなぜ?

    さらに朝の腸を動かすきっかけになるのが食事です。

    胃に食べ物が入ると、その刺激によって大腸の動きが活発になることがあります。

    これを、

    「胃結腸反射(いけっちょうはんしゃ)」

    といいます。

    「朝ごはんを食べたら急にトイレに行きたくなった」

    という経験がある方もいると思います。

    ここで面白いのが、今食べた朝ごはんが数分で大腸まで到着して便になったわけではないということです。

    胃に食べ物が入ったことがきっかけとなって大腸が動き、すでに大腸にあった便を先へ送り出しているんですね。

    食べたものが直接押しているのではなく、食事が大腸を動かす「スイッチ」のような役割をしているということです。

    じゃあ、朝食を抜くと便秘になる?

    胃結腸反射を考えると、朝食は朝の排便リズムを作るきっかけの一つになります。

    では、

    「朝食を食べないと便秘になる」

    のでしょうか?

    ここも、そんなに単純ではありません。

    排便には、

    食事全体の内容、食物繊維、水分、運動、睡眠、ストレス、そして普段の排便習慣など、さまざまなものが関係しています。

    朝食だけで便秘になる・ならないが決まるわけではありません。

    ただ、朝食を食べることが大腸を動かすきっかけの一つになる人にとっては、朝の排便リズムを作る助けになる可能性があります。

    便意を我慢するとどうなる?

    もう一つ大切なのが**「便意」**です。

    大腸から直腸へ便が送られ、直腸が広がると、その刺激が神経を通して脳へ伝わります。

    そこで、

    「トイレに行きたい!」

    という便意を感じます。

    ところが朝は何かと忙しいもの。

    「今は時間がないから、あとで行こう」

    と我慢することもありますよね。

    便意はずっと同じ強さで続くわけではなく、一度我慢すると、いったん弱くなることがあります。

    でも、

    「便意がなくなった=便がなくなった」

    というわけではありません。

    我慢する習慣が続くと、排便のタイミングを逃しやすくなることがあります。

    さらに便が大腸に長くとどまれば、その間にも水分が吸収され、便が硬くなりやすくなることもあります。

    もちろん、一度便意を我慢しただけで便秘になるわけではありません。

    大切なのは、自然に起きた便意をできる範囲で活かしてあげることです。

    「毎朝出す」ことが正解ではない

    腸活というと、

    「毎朝スッキリ出るのが理想!」

    と思ってしまいがちですが、排便の回数やタイミングには個人差があります。

    朝に出る人もいれば、昼や夜に出る人もいます。

    毎日ではない人もいます。

    ですから大切なのは、

    「何がなんでも朝に出す」ことではなく、自分なりの排便リズムを作ること。

    朝起きる。

    水分をとる。

    朝食を食べる。

    体を動かす。

    便意を感じたらトイレへ行く。

    そして、夜はしっかり眠る。

    こうした毎日の生活そのものが、自分なりの腸のリズムにつながっていきます。

    腸活は「生活のリズム」でもある

    ここまで腸活について勉強してきて、食物繊維や腸内細菌だけが腸活ではないことが分かってきました。

    食べること。

    眠ること。

    動くこと。

    そして、トイレに行くこと。

    どれも特別なことではありません。

    でも、その当たり前のことを自分のペースで繰り返していくことで、体には少しずつリズムが作られていきます。

    「毎朝必ず出さなきゃ」ではなく、「自分の腸はどんなリズムなんだろう?」と知ることから。

    腸活は、特別なことを一つ頑張るよりも、毎日の小さな積み重ね。

    今回も、結局そこにつながりました。